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書評

住宅喪失 著者:島本 慈子 発行:筑摩書房(ちくま新書) 出典:BELCA NEWS95号 (20053)
建築家が選んだ名建築ガイド 著者:安藤忠雄、藤森輝信 ほか 発行:日経BP社 出典:BELCA NEWS95号 (20053)
<改訂第4版>
マンションの修繕積立金算出マニュアル
「修繕積立金算出システム」の解説
  発行:(財)マンション管理センター 出典:マンション管理センター通信 第232号
長期修繕計画
作成と見直しの手引き
  発行:(財)マンション管理センター 出典:マンション管理センター通信 第232号
不動産学部で学ぶ
マンション管理学入門
著者:齊藤 広子 発行:鹿島出版会 出典:マンション管理センター通信 第232号
Q&Aわかりやすい景観法の解説 著者:坂和章平(弁護士)   出典:再開発コーディネータ 2005 No113
<改訂新版>管理組合法人の手引 〜法人管理規約モデル付き〜   発行:(財)マンション管理センター 出典:マンション管理センター通信(20053 NO231)
<改訂新版>マンション管理組合総会運営ハンドブック 編著:高層住宅法研究会 発行:(財)マンション管理センター、(社)高層住宅管理業協会 出典:マンション管理センター通信(20053 NO231)
Q&A マンション法ハンドブック 〜トラブルから学ぶ管理のコツ〜 編著:山上知裕(弁護士)
編集協力:(財)マンション管理センター
発売:(株)ぎょうせい 出典:マンション管理センター通信(20053 NO231)
よく分かる実践知識
マンション管理組合運営の手引き 5訂版
法律理解から大規模修繕工事まで
著:篠原みちこ、村井忠夫、米倉喜一郎、澤田博一、佐藤益弘 発行:住宅新報社 出典:マンション管理センター通信(20053 NO231)
エコハウスの設計 著・編者:柿沼整三 他共著 発行:オーム社 出典:ALIA NEWS 85号(20053)
困ったときにすぐ使えるマンション管理組合の実務ノウハウ 著者:村井忠夫 発行:日本実業出版社 出典:マンション管理センター通信 第230号 (20052)
Perfect Collection 知られざるPC建築 監修:渡辺邦夫 発行:株式会社建築技術 出典:structure NO93(20051)
RC建築構造の設計 社団法人日本建築構造技術者協会 編 発行:オーム社 出典:structure NO93(20051)
新しい二世帯「同居」住宅のつくり方 著者:天野彰 発行:講談社+@新書 出典:ALIA NEWS 85号(20051)
見方・かき方 建築配管図面 著者:矢野弘・中村勉 発行:オーム社 出典:ALIA NEWS 85号(20051)
誰でもできる 欠陥住宅の見分け方(第4版) 著者:欠陥住宅を正す会代表幹事 弁護士 澤田和也 発行:民事法研究会 出典:ALIA NEWS 85号(20051)
CM(コンストラクション・マネジメント)ガイドブック 著者・発行者:日本コンストラクション・マネジメント協会 発売:相模書房 出典:BELCA NEWS 94号(20051)
建築の21世紀 専門者理論からの脱却 著者:村田麟太郎 発売:日刊建設通信新聞社 出典:BELCA NEWS 94号(20051)
コンメンタール マンション区分所有法〔第2版〕 著者:稻本洋之助、鎌野邦樹 発行:(株)日本評論社 出典:マンション管理センター通信(20051 NO229)
管理組合・実務家のための改修によるマンション再生マニュアル 監修:国土交通省国土技術政策総合研究所 編集:マンションリフォーム技術協会・マンション再生協議会 出典:BELCA NEWS 93号(200411)
コンバージョンが都市を再生する、地域を変える 海外の実績と日本での可能性 著者:建物のコンバージョンによる都市空間有効活用技術研究会 発行:(株)日刊建設通信新聞社 出典:BELCA NEWS 93号(200411)
日本の住まいと街 発行:(株)日本建築センター 住まい産業ルネッサンス塾   出典:ALIA NEWS 84号(200411)
工務店が知っておくべき法律知識 著者:弁護士 秋野卓生 発行:匠総合法律事務所 出典:ALIA NEWS 84号(200411)
住宅読本 著者:中村好文 発行:新潮社 出典:ALIA NEWS 84号(200411)
マンション管理基本法令集 編集:(財)マンション管理センター 発行:(財)マンション管理センター 出典:マンション管理センター通信 第227号 (200411)
管理組合・実務家のための改修によるマンション再生マニュアル 監修:国土交通省国土技術政策総合研究所 発行:ぎょうせい 出典:マンション管理センター通信 第227号 (200411)
大地震から生き残れ!プロが教える新常識 著者:地震防災研究所 発行:(財)住宅金融普及協会 (株)不動産経済研究所 出典:マンション管理センター通信 第226号 (200410)
日本町の風景学 著者:内藤昌(ないとうあきら) 発行:株式会社 草思社 出典:市街地再開発 No414 (200410)
まちのマネジメントの現場から 著者:八甫谷邦明   出典:市街地再開発 No414 (200410)
21世紀:日本の建築   発行:日刊建設通信新聞社 出典:BELCA NEWS 92号(20049)
シンプルに暮らす整理術 毎日をもっと素敵に 著者:クニエダ ヤスエ 発行:大和書房 出典:ALIA NEWS 83号(20049)
循環型社会 持続可能な未来への経済学 著者:吉田文和 発行:中公新書 出典:ALIA NEWS 83号(20049)
なにがなんでも中古マンション 理想の家探し 著者:赤松珠抄子 発行:講談社 出典:ALIA NEWS 83号(20049)
密集市街地のまちづくり まちの明日を編集する 著者:黒崎羊二 大熊喜昌 村上浩和 り・らいふ研究会 発行:学芸出版社 出典:市街地再開発 NO411(20047)
地震予報に挑む 著者:串田 嘉男 発行:PHP新書 出典:ALIA NEWS 82号(20047)
二十年後?くらしの未来図 著者:平尾 俊郎 発行:新潮社 出典:ALIA NEWS 82号(20047)
サステナブル建築と政策デザイン 著者:村上 周三 発行:慶應義塾大学出版会 出典:ALIA NEWS 82号(20047)
モノづくりのこころ 著者:常盤 文克   出典:ALIA NEWS 82号(20047)
室内空気質を健康影響 解説 シックハウス症候群 編集:室内空気質健康影響研究会 発行:ぎょうせい 出典:ALIA NEWS 81号(20045)
建築生産 編著:松村秀一 発行:市ヶ谷出版 出典:ALIA NEWS 81号(20045)
間取り百年 生活の知恵に学ぶ 著者:吉田桂二 発行:彰国社 出典:市街地再開発 NO408(20044)
マンション建替えの法律と税務 著者 柳澤 義一・馬塲一徳 発行 税務研究会出版局 出典:市街地再開発 NO407(20043)
建築士のためのシックハウス対策の手引き 著書:住環境研究会+美和建築研究室 発行:井上書院 出典:BELCA NEWS 89号(20043)
都市のチカラ 超高層化が生活を豊かにする 著者:森ビル都市再生プロジェクトチーム 発行:幻冬舎 出典:市街地再開発 NO405(20041)
「何をめざして生きるんや」〜人が変わればまちが変わる〜 著者:延藤安弘 発行:(株)プレジデント社 典:市街地再開発 NO404 (200312)
お江戸の地名の意外な由来 著者:中江克己 発行:PHP出版 出典:市街地再開発 NO403(200311)
成熟のための都市再生-人口減少時代の街づくり 著者:蓑原敬 発行:学芸出版社 出典:市街地再開発 NO403(200311)

 

住宅喪失

著者:島本 慈子
発行:筑摩書房(ちくま新書)
定価:735円(税込)

タイトル通り人々がマイホームを失う危機に焦点をあてた本である。地震により住宅そのものを失ってしまう危機に触れた章もあるが、大半のページは「雇用の流動化」や住宅金融公庫の廃止による住宅取得の困難化などに割かれている。
  特に、雇用の流動化と住宅取得の関係にはかなりの警鐘を鳴らしている。雇用の流動化が進み、短期間の雇用契約しかない人にとって、これまでのように長期の ローンで住宅を購入するめどは立てにくい。そもそも、公庫が廃止された後、住宅取得資金を民間金融機関から借り入れようにも、正社員でない人に民間の金融 機関が果たしてどの程度融資してくれるのであろうか。また、正社員にしても以前のように定年まで同じ会社で勤められる可能性は低くなっているはずで、30 年以上といった長期の貸付を行ってくれるものなのだろうか。証券化等によってある程度リスクが分散されるとはいっても、リスクを取る以上、公的融資に比べ れば利息が高くなるのはある意味では当然であり、これから、住宅を買う人々にとっては大変深刻な問題である。夢のマイホーム取得に向け、仕事に励んできた 日本人に一大転機が訪れたことを、本書はわかりやすく教えてくれる。
  あくまで労働者や市民の立場に立った本であり、中には不動産・建築関係者にとって辛らつな記述もある。また、著者は研究者ではなくノンフィクションライターであるため情緒的な表現も多い。ただそれだけに著者の感じる危機感や切迫感も伝わってくる一冊である。

出典:BELCA NEWS 95号 (2005.3)

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建築家が選んだ名建築ガイド

編者:日経アーキテクチュア
著者:安藤忠雄、藤森輝信 ほか
発行:日経BP社
定価:1,260円(税込)

  地元の建築家が選んだ尾名建築を紹介する本。「日経アーキテクチュア」誌に連載されていたものに加筆の上一冊にまとめたものである。連載中から単行本になればよいと思っていたが、連載終了後すぐに刊行されたところを見るとかなり好評だったものと思われる。
 地元の建築家が「建築好きの友人が訪ねてきたらどの建築を案内するか」という視点で選んでおり、従来のガイドブックとは違った視点で選んでいる点がユニークである。また、主要大都市は10件、地方都市では5件ずつ全都道府県を掲載していながら、コンパクトに作られているため、出張などの際にカバンに入れておいても邪魔にならない。
 いわゆる有名建築も数多く紹介されているが、地元の人でなければ知らないような建築も多数紹介されており、建築通にも新たな発見があると思われる。
 やはり、地元をよく知る人の意見は、普通のガイドブックとは違った趣があって面白い。
 価格が安いことも魅力であり、建築関係者以外にも、わが街の名建築を知ってもらう良い機会になるのではなかろうか。

出典:BELCA NEWS 95号 (2005.3)

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<改訂第4版>
マンションの修繕積立金算出マニュアル「修繕積立金算出システム」の解説

発行:(財)マンション管理センター
定価:2,000円(税込)

 監理組合があらかじめ長期修繕計画を作成し、修繕積立金を積み立てる必要性については「マンション管理適正化指針」に謳われており、「マンション標準管理規約」では長期修繕計画の作成及び変更を管理組合の業務と位置付けています。
 一方、管理組合からはどのような内容で、どの程度のものを作成したらよいか分からないといった声や、現在の長期修繕計画が適切なものか、また現在の修繕積立金の設定額は十分な額なのか、等々の声が届きます。
 そこで当センターでは各種の検討結果をもとに、既刊分についての大幅な見直しを行い、今回「改訂第4版」として発行することといたしました。
 今後、皆さまのマンションに必ず訪れる大規模修繕工事のためにも、大いに役に立つものと思われます。是非お求めください。

出典:マンション管理センター通信 第.232号

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長期修繕計画 作成と見直しの手引き

発行:(財)マンション管理センター
定価:2,000円(税込)

 マンションの管理を適正に行うためには、管理組合が適切な時期に建物・設備・外構当の計画的な点検・修繕を行うことが必要となります。
 計画的な修繕は多くは大規模修繕によって行われます。長期修繕計画を持たない管理組合は新たに作成する必要があり、すでに作成している管理組合においても一定年数毎にこれを見直すことが必要になります。
 多くの管理組合からは、長期修繕計画を新たに作成する場合どのように手掛けたらよいのか、またすでに作成済みの長期修繕計画が適切なものであるか否か管理組合で判断できない等々のお問い合わせを受けております。
 本書は、それらの疑問点を解決するための道しるべになるものと思われます。大いにご活用ください。

出典:マンション管理センター通信 第.232号

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不動産学部で学ぶマンション管理学入門

著者:齊藤 広子
発行:鹿島出版会
定価:2,200円+税

 ピカピカのマンション広告の数々・・・そこには輝かしい生活が約束されているかのような印象を受けます。ところがマンションに暮らしだすと、「管理組合って?」「管理会社って?」といくつもの疑問に直面します。「こういうふうにカンリしなければならない!」と知識や情報を押し付けられてうんざりしている方も多いのではないでしょうか。
 本書は、そんなマンション管理の「なぜ、なに?」という現象の裏にある背景・メカニズムを知り本質を理解するための書籍です。とはいっても堅苦しいものではなく、日頃の疑問からアプローチすることで、マンション管理の大きな枠組みがわかるように構成されています。
 細かな知識を覚える前に、是非ご一読下さい。

出典:マンション管理センター通信 第.232号

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Q&Aわかりやすい景観法の解説

著者:坂和章平(弁護士)
定価:4,620円(税込み)

 都市景観や街並み形成についてようやく国が法制化に動いた。元来、フォルムやデザインについての規制は概念的になりがちであり、むしろジャッジや指導に基準値を設け難い側面がある。従って判定・指導・通達に至る判断をするにあたり、幅広い知識による相対的価値観が必要であるだろうし、相対的に公平な審美眼が要求されるだろう。
 我が国における都市景観や街並美観については、公的、私的な領域に倫理観のような概念が希薄になりがちな国民性がないだろうか。公有領域と私有領域などで構成される中間的ともいえる公共空間は、相方の健全な協調精神と美意識に基づく、いわば公共意識から安定した都市景観や美しい街並が生まれるのである。公や民が理解しあわず、民や私が自我や利権を主張すれば、公共空間が俗悪化する結末になる。
 以前、小職が関係したデザインシンポジウムで公共空間のあり方を議論した際、「我々は日頃、都市づくりや街づくりで美しい街づくりを追求しているのに、我が国は都市空間の中で溢れんばかりに存在している公共機関やタクシーなどに、デザインの指導や規制する審査機能をなぜ持てないのか」と運輸関係者に直言したことがある。これに重ねて日頃から、我が国では基準法や指導要綱によりハードの規制はするが、デザイン審査は不在だと主張してきた経緯もある。
 当協会の伊藤滋会長が、常日頃口にされている「美しい街をつくろう」を思うにつけ、大阪の中心街区における街づくり活動の中で、街の歯並びが何と悪いことかと嘆いてきた。その意味から景観法の制定・公布は、このような苛立つ思いに一石を投じてくれそうだと期待する。
 ナニワのオッチャン弁護士坂和章平さんが、実に素早く機を見るに敏なる行動にでた。それは『Q&Aわかりやすい景観法の解説』の上梓である。推測だが、多分小職のように我が国の景観デザインに関する国政の姿勢に予てから忸怩たる思いがあったのではないだろうか。坂和さんは大変ユニークで多彩な行動の逸材である。余技とも本業ともとれる彼の「映画斬り」の著書は既に数冊にも及び今や中国映画評にも口出し始めたこの頃である。よくもこんな時間が捻りだせるものかと感服するばかりである。
 本論にも戻り、この度の『Q&Aわかりやすい景観法の解説』の誌上紹介にあたり、著者に打診するとおおむね下記の要旨である。

  1. 本書のポイントは、「景観法−住民・自治体で使いこなそう」であり、朝日新聞の記事『私の視点』がポイントをまとめたものである。(2004年9月23日付参照−URL http://www.sakaw-lawoffice.gr.jp−景観法の部分をクリック)。
  2. 本文資料にある国交省のホームページが一番解りやすい(本著では一部のみ引用)。
  3. 法的には委任条例(法律、政令の委任を受けた条例なので、条例の定める制限に効力がある)と自主条例(法律、政令の委任がないので、いくら条例を定めても法的拘束力がなく、違反しようとすればできるもの)の違いがはっきりしてきた。
  4. 景観法の条文で○○を条例で定めることができると明記されたものは委任条例となるため、地方公共団体が条例を定めさえすれば拘束力を持つ。しかし、定めなければ結局は宝の持ち腐れとなる。
  5. 第3章「景観地区」等(61条〜80条)が、建築物の形態・意匠を具体的に制限する最も中枢となるものであり、従ってこの章の施行だけは1年以内とされ、平成17年6月からとなる(それ以外の章は平成16年12月に施行され、政令も定められた)。
  6. 要するに下記の区別が重要である。
    ・第2章「景観計画」、「景観計画区域」、は緩やかな規制であり、
    ・第3章「景観地区」、「準景観地区」は厳しい規制となる。

 以上、景観や街並問題は住民や自治体の認識度に左右される度合が大きく、この法律は日本人の美意識や公徳心に基づくことである。これは教育、宗教観などの基礎教養によるところも多い。
 我々専門職は大いに勉強・教育・指導するべく、本著の必読を薦めます。

出典:再開発コーディネータ 2005 No.113

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<改訂新版>管理組合法人の手引 〜法人管理規約モデル付き〜

発行:(財)マンション管理センター
定価:1,500円(税込み)

 管理組合の声に応えて、法人管理規約のモデルを掲載した「管理組合設立の手引」を出版いたします。
 区分所有法の一部改正(平成16年6月1日施行)で、区分所有者2名から管理組合法人の設立が可能となり、近年、管理組合の法人化への関心が高まっています。
 マンション管理センターでは、法人管理組合規約に関する多数のお問い合わせに応えるため、「マンション標準管理規約(単棟型)」の管理組合法人バージョンの研究をして参りました。
 本書は、管理組合法人設立の方法を具体的に示すと共に、研究成果としての「法人管理組合規約モデル」を掲載しています。管理組合の法人化を検討される場合にお役立てください。

出典:マンション管理センター通信(2005.3 NO.231)

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<改訂新版>マンション管理組合総会運営ハンドブック

編著:高層住宅法研究会
発行:(財)マンション管理センター、(社)高層住宅管理業協会
定価:4,270円(税込み)

 皆さんは、総会を開かずに携帯電話のメールで、“決議が出来る”(勿論、区分所有者全員の承諾は必要ですが)ということを御存知ですか。本書ではこのように総会運営に関する各種の「分からないこと、疑問に思うこと」にお答えします。
 区分所有法は、管理組合総会に関する細部については規定していません。招集手続きの瑕疵とは?、延会・継続会とするときは?、破産した区分所有者の議決権は?、等々の疑問について法律面や実務面から明快に答えた関連図書は見あたりません。
 本書は1987年初版の改訂版です。管理組合総会を円滑に進めるために大いに役立つものと思われます。管理関係者の必携書として身近に備え、是非ご活用ください。

出典:マンション管理センター通信(2005.3 NO.231)

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Q&A マンション法ハンドブック 〜トラブルから学ぶ管理のコツ〜

編著:山上知裕(弁護士)
編集協力:(財)マンション管理センター発売:(株)ぎょうせい
定価:2,800円(税込み)

 マンション法(「建物の区分所有等に関する法律」)は、昭和37年に施行され2度の大幅改正を経て今日に至っておりますが、その間マンション管理を巡る訴訟件数も相当の数となっております。本書の執筆陣は山上弁護士をはじめとして、現在その最前線で活躍されておられる弁護士で構成されています。
 とかく法律や判例に関する書籍は、法律の専門家でない者にとっては、馴染みにくく敬遠されやすいものですが、本書はその危惧を払拭し、多くの訴訟を担当し実務経験を踏まえた執筆陣が、分かり易い内容に仕上げております。
 これからのマンション管理を考えていく上で、必ずや参考になるものと思われます。是非身近にお備え下さい。

出典:マンション管理センター通信(2005.3 NO.231)

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よく分かる実践知識
マンション管理組合運営の手引き 5訂版
法律理解から大規模修繕工事まで

著:篠原みちこ、村井忠夫、米倉喜一郎、澤田博一、佐藤益弘
発行:住宅新報社
定価:2,835円(税込み)

 管理組合向けの解説書としては、おそらく最も古い時期に出た数少ない参考書の一つがこの本。初版は1992年(平成4年)3月の発行だから、もう13年間にわたって発行され続けてきたことになる。
 マンション管理適正化法の誕生、マンション管理士のスタート、区分所有法・標準管理規約・標準管理委託契約書の改正などはすべて本書発行後のことだった。そうした背後事情の変動を取り入れながら何度も改訂されてきたが、今度5訂版が出た。今から10年以上前の時期に管理組合向けの参考書がまったくなかった実情を憂えた関係者の気持ちが結集して世に出た本だが、多くの管理組合から支持を受けて、現在も書店の店頭に置かれ続けている。

出典:マンション管理センター通信(2005.3 NO.231)

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エコハウスの設計

著・編者:柿沼整三 他共著
発行:オーム社
定価:3,300円+税

 環境共生時代の今日「エコ」の言葉を耳にしない日はない。
 住宅業界においては、本書のタイトルである「エコハウス」がその代表である。
 本書は、「エコハウス」設計のトップランナーである柿沼氏、他5名により今後の住宅に「当たり前品質」として求められるであろう「エコハウス」について、環境先進国であるドイツや、北米における取り組み事例の紹介を皮切りに、住宅の原点である「健康な住まい」づくりや、ライフサイクル、省エネルギー計画、設計と監理のポイント等が紹介されている。
 実際の現場における施主要望等を受けての設計体験等が、各章に生きており「エコハウス」にかかわる官公庁、設計者、施工管理者、建材・設備機器メーカー担当者、学生、或いはこれから住宅建設を予定されている方々等に必携のエンサイクロペディアである。

出典:ALIA NEWS 85号(2005.3)

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困ったときにすぐ使えるマンション管理組合の実務ノウハウ

著者:村井忠夫
発行:日本実業出版社
定価:2,000円+税

 「管理組合なんてなくたってどうっていうことないじゃない?」「管理会社と付き合うのにも上手下手があるのかなぁ・・・」。日本中の管理組合の現場で多くの人が口にするつぶやきを拾ってまとめた説明が、一冊の本になりました。目次を開いて当てはまりそうなところがあったら、とりあえずそこを読めば良い・・。家庭向けの医学書と同じ読み方で管理組合がぶつかる問題解決の答探しをサポートしようという意図で書かれています。難しい問題を難しくないように、本をあまり読まない人にもできるだけ気軽に読んでもらえるようにと考えて作られた管理組合向けの救急箱のような本です。

出典:マンション管理センター通信 第230号 (2005.2)

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Perfect Collection 知られざるPC建築

監修:渡辺邦夫
協力:中野清司
発行:株式会社建築技術
定価:6,700円+税

 この本は、これからPC建築に取り組む方々の道しるべになればとの願いをこめて出版された。著者は、「PC建築がもっと身近なものになれば、多くの人がその魅力にとりつかれるだろう。ここでは近代建築が育んできた合理的な構造技術と生産技術との合流点があるし、同時に、木造的な伝統技術に根ざした建築のロマンと郷愁が潜んでいるからだ。」との思いをこの本で実に見事に表現している。十数年にわたる苦悩と努力の成果が伺える。
 この本では、「PC建築」はプレキャストコンクリートとプレストレストコンクリートの双方の技術を駆使し結合したものとしている。すなわちコンクリートの生産方式と構造技術が融合してはじめて「PC建築」と定義できるとしている。
 「PC建築」はすばらしいものであるが、世の中にはほとんど知られておらず、世界的に見てもこの技術は定着していない。この技術が建築の分野で普及していない原因として、以下の3点を挙げている。
 1.「PC構造」は土木で建築とは関係ないといった先入観。
 2.「PC建築」を教育する機関が無い。若者がその存在を知らない。
 3.「PC建築」の設計が面倒で取り組もうとしない設計者の怠慢。
 この3つの疎外要因を取り除いた時に、「PC建築」の普及が可能となるとし、そのためにも、この本では「PCの魅力」を中心軸にすえて、「PC建築」に内在する魅力の表出を出版目的としている。
 第1章では、PC建築の源流として1960年代の4つの建築作品を取上げ、PCの2つの技術である「プレキャスト」と「プレストレスト」を結合させることのすばらしさを説明している。第2章では、この半世紀に実現した魅力的なPC建築から22事例を絞り込み、作品の計画から実現までを繊細な写真と図面を駆使して紹介している。第3章 基本構造システムの構築、第4章 構法から工法へ、第5章PC建築の収まり、第6章 PC構造の計算フローでは、「PC建築」のポイントを初心者にわかりやすく説明している。
 この本は「PC建築」普及の一助となることが確信できるほどすばらしい内容である。

出典:structure NO.93(2005.1)

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RC建築構造の設計

社団法人日本建築構造技術者協会 編
発行:オーム社
定価:6,825円(税込)

 建築構造設計者必読!
 兵庫県南部地震(1995年)など過去の数々の大規模地震は都市や人々に大きな被害をもたらした一方、建築に対しても多くの教訓を残しています。また、技術や社会的環境も近年大きく変化しています。
 本書は、これら最新の知見を盛り込んだRC建築構造設計の実務入門書です。RC構造に関する構造計算の各プロセスにおいて、何をどのように判断するのかという点を重視し、実例を取上げながら構造設計を具体的に解説しています。

出典:structure NO.93(2005.1)

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新しい二世帯「同居」住宅のつくり方

著者:天野彰
発行:講談社+α新書
定価:876円+税

 「二世帯住宅」といえば、当初は玄関2つでキッチンも別、親子と言いつつプライバシーは分けるというコンセプトで、子世帯が近くにいれば、病気などのときに親世帯は安心できる、土地なども含めると子世帯は資金繰りが厳しいので親の財布を当てにする、でも鬱陶しいのは嫌だから、お互い干渉しないようにしましょう、というある意味エゴイスティックないいとこ取りだったのではないだろうか。
 この本で著者は「二世帯」と「住宅」の間に敢えて「同居」と挟み込んでいる。お互い無干渉(無関心?)でいる家族関係であれば、同じ土地に住む意味はなく、もっと豊かな関係へ進んでいくきっかけとして「同居」するのだ、という提言なのだ。とはいえ、夫の両親であれ、妻の両親であれ、いままでと違う暮らしをしていたのだから、住宅に求めるものも自ずと異なる。この本では、その家族同士や世代間のエゴのぶつかり合いを、建築家である著者がどうまとめ、住宅に反映させたかというドラマが、実際の住宅の平面図と共に楽しめる。住宅部品への言及は少ないが、施主の要望をどうやって聞き取るかが住宅の満足度につながっていることがよく分かる。

出典:ALIA NEWS 85号(2005.1)

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見方・かき方 建築配管図面

著者:矢野弘・中村勉
発行:オーム社
定価:3,000円+税

 矢野氏は設備・環境関係、中村氏は騒音・配管設備腐食のオーソリティ。「現場」そして「学術会議の場」へと、終日、東奔西走中の両者の揃い踏み書籍。現場で生まれ・育ち・今や教える立場に立つトップランナーによる「図面概要、建築・配管工事の読み方と流れ、管材選定、接合方法、施工要領、防振・耐震、施工省力化、保温・断熱、試験・試運転調整、設計知識、用語解説」が、非常にクリアーなイラストと共に、じつにわかりやすく紹介された「配管百科事典」である。この新年から、住宅・建築・配管・給排水衛生の業界に携わる方、或いは、新人でこれから勉強しようとする方々、同種の本を今までに読んでは見たがよく分からなかった経験を持つ方々にお薦めしたい座右の一冊となる本。

出典:ALIA NEWS 85号(2005.1)

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誰でもできる 欠陥住宅の見分け方(第4版)

著者:欠陥住宅を正す会代表幹事 弁護士 澤田和也
発行:民事法研究会
定価:2,500円+税

 長年にわたって欠陥住宅問題に取り組んできた著者が、住宅知識を身につけたい市民のために、住宅に関する基礎知識から欠陥住宅の見分け方まで、誰にでも理解できるようにやさしく解説してある。
 特に欠陥住宅の見分け方については、53例の欠陥現象をイラストで具体的に解説しているので、誰でも理解が容易である。
 誰も教えてくれなかった建売住宅を購入する場合の簡便な欠陥住宅発見法や、最近問題になっている3階建て住宅の欠陥、シックハウス問題についても記述されている。注文住宅においても、欠陥住宅を作らせない必須知識が網羅されており、住宅を購入しようとしている人、これから住宅を建てようとする人には必読書であろう。
 不幸にも欠陥住宅被害に遭われた場合、相談の仕方から解決方法まで実践的に解説してあるので参考になる。

出典:ALIA NEWS 85号(2005.1)

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CM(コンストラクション・マネジメント)ガイドブック

著者・発行者:日本コンストラクション・マネジメント協会
発売:相模書房
定価:4,725円(税込)

 コンストラクション・マネジメント(以下CM)という言葉もかなり定着したが、その意味を問われると、的確に説明できる人は少ない。
 一般的に言えば、施主から委任されたコンストラクション・マネージャーが施主の立場にたって総合的な建設管理を行い、コストの低減・工期の短縮などにつとめる活動をいうことになろう。
 しかし、具体的にどのような活動を行うのか、あるいは既存の工事監理や管理とどういった部分が異なるのかについて、疑問を感じている人も多いだろう。
 いまだに根強いこういった疑問にこたえるガイドブックとして、また日本のコンストラクション・マネジメント協会の主催する「認定コンストラクション・マネージャー」試験の参考書として本書は刊行された。
 「CMの概要」、「CMの業務体系」、「CMの理論・技術・手法」、「CMの事例」といった構成になっており、CMについて勉強したいが「教科書」がないと思っていた人々には良き手引きとなるだろう。
 後半では事例が合計7例(建築3例、土木4例)紹介されており、これまで概念だけでは分かりにくかったCMを理解するきっかけがつかめるかもしれない。

出典:BELCA NEWS 94号(2005.1)

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建築の21世紀 専門者理論からの脱却

著者:村田麟太郎
発売:日刊建設通信新聞社
定価:2,415円(税込)

 著者は40年以上にわたり建築設計の世界に身をおいてきた。本書は、長い経験の間に感じてきたさまざまな思いをまとめたものである。
 長い年月を経ても、一般社会と接する時、著者は建築界との間に落差を感じることがあるという。建築界に同化できない違和感も残るという。
 その理由の一つは、科学技術の進歩に伴う専門分化にあるのではないかと著者はいう。専門家はその専門分野の襞の中に分け入りすぎて、社会全体における自分の位置を見失い、全体関係性や統合性を見失ったのではないかと指摘する。
 また、こうした事態が改善しない理由として、建築界と一般社会をつなぐコミュニケーションの不足と不適切さをあげる。専門側はどうせ解らないだろうということで丁寧に説明しない、一般社会側では餅は餅屋だとまかせっぱなしにしてきたことがお互いの理解や信頼を損なったという。
 成長を続ける社会では特段の問題がなかった建築界と一般社会の関係も、環境の有限性が強く意識されはじめた今日では行き詰まってしまった。
 著者はこのような視点から、建築と社会の関係を中心に、建築の21世紀がどうあるべきかを展望する。
 あとがきには、「建築家の文章は、これまで、解らないとよく言われた」という指摘がなされている。このような認識をもった著者の書いた本だけに読みやすく、一般の人が建築家を知る良い手がかりになるものと思われる。

出典:BELCA NEWS 94号(2005.1)

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コンメンタール マンション区分所有法〔第2版〕

著者:稻本洋之助、鎌野邦樹
発行:(株)日本評論社
定価:8,400円(税込み)

 マンションや団地の建替え・改修、管理組合法人化と管理・運営方法など、これからの諸問題にどのように対応すべきでしょうか。好評の本書は、建替えの円滑化や管理の適正化をはかるため2002年に大改正された区分所有法に基づき、全条文について全面的な見直しを行うとともに、詳細かつ明解な解説を施したものです。関連する重要法律の解説も加えました。大いに役立つ本です。

出典:マンション管理センター通信(2005.1 NO.229)

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管理組合・実務家のための改修によるマンション再生マニュアル

監修:国土交通省国土技術政策総合研究所
編集:マンションリフォーム技術協会・マンション再生協議会
著者:マンション再生技術研究会発行:(株)ぎょうせい定価:2,400円(税込み)

 マンションの居住環境や資産価値を良好状態に維持または向上させていくためには、大規模修繕や改修、建替えなどが必要となる。
 最近ではこれらを「マンション再生」と呼ぶことが多い。その「再生」の必要性が高まっていることから、「マンションの建替えに向けた合意形成に関するマニュアル」、「マンションの建替えか修繕かを判断するためのマニュアル」に続いて、国土交通省では再生にかかるマニュアルをとりまとめ「改修によるマンション再生手法に関するマニュアル」として先に公表した。
 本書は、このマニュアルをベースに、これまでの改善事例の紹介や技術解説などのを加えたものである。
 図や写真を多用しわかりやすい構成となっているので、すぐに修繕等をせまられない人々が読んでも参考になる。さらに管理組合が一番悩むと思われる工事等にかかる概算コストも示されており、組合運営においても頼れる一冊である。

出典:BELCA NEWS 93号(2004.11)

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コンバージョンが都市を再生する、地域を変える
海外の実績と日本での可能性

著者:建物のコンバージョンによる都市空間有効活用技術研究会
監修:松村 秀一、小畑 清治、佐藤 考一
発行:(株)日刊建設通信新聞社
定価:2,520円(税込み)

 本書の著者である「建物のコンバージョンによる都市空間有効活用技術研究会」は、2001年からコンバージョンの研究に取り組んでおり、その成果を既に「コンバージョンによる都市再生」として刊行している。
 本書はそれに次ぐ研究成果で、前の書が海外事例の分析に多くを割いていたのに対し、今回はわが国での取り組み事例などの分析にも焦点を当てている。
 いずれの事例も個別の建築物のコンバージョンではなく、街や地域といった広い視野からの取り組みであり、「職住混在」型のコンパクトな都市づくりの実現に向け努力する地域の姿が垣間見える。
 本書の最後には、政策や自治体の役割等についても提言がなされたいるが、やはり規制の緩和や税制優遇などのインセンティブの必要性を改めて考えさせられる。海外の多くの都市では既に促進策を講じているようであり、BELCAが行ったロサンゼルスのコンバージョン事情調査報告書にも、それらの政策が見てとれる。
 わが国でのコンバージョンの動向を引き続き注視したい。

出典:BELCA NEWS 93号(2004.11)

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日本の住まいと街

発行:(株)日本建築センター 住まい産業ルネッサンス塾
定価:1,000円(税込み)

 本書は、大きく2つの章に分かれており、第一章では(株)日本建築センター「住まいの産業ルネッサンス塾」における著名人6氏による、日本の住宅制度に関する課題と対応策についての座談会の内容について述べられており、国家戦略としての税制を含めた公的支援のあり方や、地方自治体への権限委譲など我々が断片的にしか意識できていない政治上の問題点を含め、鋭く捉えていると思う。
 また第二章では、都市プランナー、建築家、経済学者の3氏が、それぞれの立場で、欧米社会における住宅の特質と、街としてのあり方を検証すると共に国内の市街地再生プロジェクトなどを通じた都市計画理念について、いかに取り組むべきかの方向性を示唆しており、我々が次世代に引き継ぐべき日本の住まいと街の関りについて考えさせられる著書と言えよう。
 都市政策論となると、若干ページをめくるのにも躊躇することが多い中、意外と気軽に目を通す事の出来る本であり、是非一度手にとってみては如何でしょうか!!

出典:ALIA NEWS 84号(2004.11)

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工務店が知っておくべき法律知識

著者:弁護士 秋野卓生
発行:匠総合法律事務所
定価:1,500円(税込み)

 住宅業界における、初めての消費者契約法違反判決が、千葉地裁にて確定しました。
 著者、秋野氏は、施主(被告)の弁護士です。大手FC本部作成の請負契約約款の特約事項、どこでも使われている条項「契約破棄 違約金20%」は根拠がなく、「消契法9条1項に規定する平均的損害を超えるので無効」を勝ち取りました著者自らの、最新判決解説本です。
 新築請負契約破棄(訴因)の大学教員(施主・被告)に対し、FC工務店(原告)は違約金他445万円の支払いを要求しましたが、判決は10万円の支払いのみです。私も住団連のPL検討委員会で、業界としての消契法マニュアルを作成した当時を思い起こし、非常に興味深く一気に読み終わりました。
 最初、裁判官ですら、「請負契約に消契法が適用されるのですか?」と秋野弁護士に疑問を呈し、氏は当時の審議資料全般を提供して詳細に説明したそうです。
 (1)接触、(2)契約締結準備、(3)事実上合意、(4)契約締結の請負契約形成4段階過程の考えが確立された事、又、不実告知、不利益事実不告知の問題も絡んでおり、消費者保護の潮流を知るMUST-READ本です。

出典:ALIA NEWS 84号(2004.11)

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住宅読本

著者:中村好文
発行:新潮社
定価:2,800円+税

 住まいをしみじみと感じ、考えさせてくれる本である。世界中の住宅建築を見聞して直に感じてきた著者であるからこそ、良い住宅とは何かにについて思いを巡らし本書のようにまとめることができたのであろうと思う。風景へのおさまりの良さや居心地の良い空間はもちろんのこと、住まいの中心に火がある生活や遊び心のあることなど、一度でも家を考え工夫をしたりをしたり悩んで作ったりしたことのある人なら12章のどれも納得できる。簡潔な文章や説明、写真を効果的に用いていて更に感想文がついており、こうした空間に住んでいる自分を容易に想像できる。子供の夢を育む家、手触りから生まれる愛着、良い家具と一生つきあうこと、住み継いで行くということ、明かりと灯りを使い分けることの意味、大切さなどどの章からでも気軽に読める。

出典:ALIA NEWS 84号(2004.11)

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マンション管理基本法令集

編集:(財)マンション管理センター
発行:(財)マンション管理センター
定価:1,000円(税込み)

 「マンション管理基本法令集」は、マンション管理の現場でよく利用される法令などをハンディサイズに収めた法令集です。マンション管理に関する法令集は従来もありましたが、持ち運びに不便であったことから、使用頻度の高い法令・通達に絞って掲載することで携帯に便利なようにいたしました。
 販売価格もできるだけ多くの方にご利用いただけるように低価格にいたしております。
 管理組合の役員の方やマンション管理に携わっている方にお薦めの一冊です。

出典:マンション管理センター通信 第227号 (2004.11)

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管理組合・実務家のための改修によるマンション再生マニュアル

監修:国土交通省国土技術政策総合研究所
編集:マンションリフォーム技術協会・マンション再生協議会
著者:マンション再生技術研究会
発行:ぎょうせい
定価:2,400円(税込み)

 現在では国民の約1割が居住するといわれるマンションですが、昭和56年の「新耐震設計法」以前の建物は全国に100万戸あり、今後、老朽化マンションは急速に増える見込みです。そのようなマンションの安全性や居住環境を改善するために、修繕、改修、建替え等による「マンションの再生」が社会的課題になっています。
 本書は、そのような現状を踏まえて国土交通省が公表した「改修によるマンションの再生手法に関するマニュアル(平成16年6月3日)」に改修事例や技術的な解説を加え、改修を検討する管理組合や改修を支援する専門家に役立つ内容に仕上げています。多数のマンション改修を手がけた専門家が「屋根改修」や「給水設備改修」など、部位ごとに具体的な手法を写真付きで解説しております。改修の段取りや費用についてもよくわかる、関係者にお薦めの一冊です。

出典:マンション管理センター通信 第227号 (2004.11)

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大地震から生き残れ!プロが教える新常識

著者:地震防災研究所
発行:(財)住宅金融普及協会 (株)不動産経済研究所
定価:1,300円(税込み)

 地震対策のための「45の新常識」を見開きで分かりやすく解説したもので、M7クラスの大規模地震では『火事が怖い』のではなく『家が怖い』(家の倒壊などによる圧死など)といった阪神大震災の経験を踏まえた新常識も示されています。「45の新常識」は、内閣府の防災担当者や電気・ガス・通信・住宅・建築などの防災のプロ集団が地震防災研究会を作ってとりまとめたものです。『マンションの共用部分にも地震対策が必要』『マンション管理組合で共用設備を補強する』『マンション内では避難路の確保を優先する』をいった常識も分かりやすく触れられています。

出典:マンション管理センター通信 第226号 (2004.10)

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日本町の風景学

著者:内藤昌(ないとうあきら)
発行:株式会社 草思社
定価:1,890円(税込み)

 「日本 町の風景学」と題している本書は、日本人の伝統に則した、いわば生活体験結晶としての町の風景や、何気ない路傍に見ることが出来る人情の機情に通じた景物の演出技術など様々な観点で紹介・考察・評価を行っている。
 本書は「町の風景学」の論理体系について、第1章「風景の歴史相」から結章「風景の性格相」の6章で構成されている。
 まず、第1章の風景の歴史相では「風景とは何か」という点について、風景をめぐる言葉・環境の倫理・憧憬の風景(寺)などの観点で考察されている。第2章から第4章により時間の経過により日本の都市はどの様に誕生し、どの様にして城下町や港町・宿場町などの町が過去に出来てきたのか、住みよい町を計画するための町の規模・町を構成する通りの長さ・幅員などについて事例をもとに考察されている。第5章には住みたい町の秘密はどの部分にあるのか、町の演出に考察されている。結章により日本の町の魅力について考え風景の未来像について考察を行っている。
 古くより日本人は海外文化を積極的に取り入れると共に自然と共生を図ってきた。その中から生まれた日本の町並みは風景を大事にし、住民の多様な欲求をもとに変化を遂げてきたといえる。現在の日本は情報化社会が非常に進みエコロジーの重要性が論じられ、21世紀の相貌を持つ新しい都市が模索される中、日本の町づくりの伝統については大いに注目を集めていると本書では解析している。
 将来の風景について考える中、昔からの風景や町の移り変わりについて考えてみるには本書を一度ご覧になってはいかがでしょうか。

出典:市街地再開発 No.414 (2004.10)

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まちのマネジメントの現場から

著者:八甫谷邦明
定価:1,890円(税込み)

 衰退する中心市街地の再生等を目指し、全国各地でまちづくり活動が展開されている。本書では、「まちづくりの現場」で中核を担った地域住民を主体とする「まちづくり組織」について、その形成過程や組織としての特質を、当事者のインタビューを交えて紹介している。本書の最大の魅力は、まちづくりに携わった人々の「生の声」を聞けることであり、自然に当時の現場に引き込まれる感がある。
 まちづくりと一言で言っても、その再生等に向けたプロセスは実に多種多様である。本書でも、住民組織だけでなく行政組織が古い体質から脱却し、ともに再生を目指した小国町(熊本県)の例、自治会組織を外部に開かれた組織構造に変革し、市と協同して住民主体のまちづくりを進めた真野(神戸市)の例、まちづくり会社を中心に地域主体の再開発を推進する飯田市(長野県)の例など、失敗談も含めて数々の具体事例が掲載されており興味深い。本書を読んでいくと、まちづくりにおいては、地域住民が活動の主体となること、地域住民と行政が協同体制を構築すること、そして地域のあるべき方向を考え活動する指導者(プロデューサー)が存在することが重要であると感じる。
 地域の再生の方向に悩むまちも多いと思うが、解決の糸口を探るにあたり、住民にとってもまちづくり行政に携わる者にとっても参考となる一冊ではないだろうか。

出典:市街地再開発 No.414(2004.10)

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21世紀:日本の建築

発行:日刊建設通信新聞社
定価:2,600円+税

 日刊通信新聞社は、20世紀末の3年間ほどをかけて、建築の将来を考えるための連続シンポジウムを全国で10回開催した。
 各シンポジウムは、「鉄筋コンクリートと建築」(宇部市)、「アルミニウムと建築」(富山市)、「スチールと建築」(北九州市)、「木」(大館市)などと題され、その素材に相応しい地域で開催するという凝った企画だった。
 本書はこのシンポジウムの講演の内容などを一冊にまとめたものである。
 各シンポジウムではテーマに相応しいアーキテクトが招かれており、藤森照信、安藤忠雄、槇文彦、林昌二、伊東豊雄といった錚々たる顔ぶれである。アーキテクトだけでなく、各分野の専門技術者も招かれており、その講演は大変示唆に富むものが多い。
 20世紀の建築を振り返り、21世紀の建築を展望するのに格好な一冊といえるだろう。

出典:BELCA NEWS 92号(2004.9)

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シンプルに暮らす整理術 毎日をもっと素敵に

著者:クニエダ ヤスエ
発行:大和書房
定価:1,400円+税

 ものがスッキリ片付いていると、とても気持ちがいいものです。使いやすいキッチン術、上手な食器の揃え方、クローゼット収納法から人生をリセットする整理術まで、クニエダ流の快適に暮らす方法!を、本書「シンプルに暮らす整理術」でクニエダヤスエ氏は提案しています。
 整理好き、収納好きになるための秘訣は、毎日の暮らしを素敵にしたいと思うこと、そして楽しむことだと思います。「片付けなくては」という強迫観念からではなく、「こう整理すると、使いやすく美しくなる」とか、「家事の手間も省けて便利で気持ちいい」と、云うふうにしては如何でしょう。そして、整理とは・・・ものをどの場所に置くことが、ものにとって、私にとって(みんなにとって)、便利で快適なのかを決めること。収納とは・・・ちょっとした日々の手間を惜しまず、ものにとって、私にとって(みんなにとって)気持ちのいい場所に戻すこと。その繰り返しをきちんとすることなのだと思います。

出典:ALIA NEWS 83号(2004.9)

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循環型社会 持続可能な未来への経済学

著者:吉田文和
発行:中公新書
定価:860円+税

 2000年6月に公布された「循環型社会形成基本法」では、基本的な考え方の一つとして「循環型社会」の姿を明確に提示し、有用な廃棄物等を「循環資源」と位置づけ、その利用を促進している。循環型社会とは、廃棄物の発生抑制、循環資源の循環的な利用、及び適正な処分の3つが確保されることで、天然資源の消費を抑制し、環境への負荷が低減される社会になること。そのために、廃棄物処理法による容器包装リサイクル法・家電リサイクル法・建築資材リサイクル法などや資源有効利用促進法によって、丈夫で長く使用できる製品づくり、ごみの削減、再使用、資源の再生利用、発生した熱などの副産物の利用などが制定されている。本誌では各リサイクル法毎に、実施状況、評価および課題などを判りやすく説明、また、各地で起こっている不法投棄の実情も記載されている。昨今、日本の産業廃棄物を中国のブローカーが購入し、中国に持ち込んで選別利用していることも報道されている日本。資源の少ない日本が生き延びるために、きちんとした循環社会立国に向け、改めて考えさせられる一冊と思う。

出典:ALIA NEWS 83号(2004.9)

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なにがなんでも中古マンション 理想の家探し

著者:赤松珠抄子
発行:講談社
定価:1,200+税

 集合住宅を買おうと思ったとき、最初に思い浮かべるのは新築だろう。中古であれば「リフォーム済み」を探すのではないだろうか。この本の著者は、母、妹と3人で暮らす部屋を探す条件として「未リフォームの中古マンション」としている。その心は、インテリアデザインの仕事をしている著者が、賃貸ではできない部屋改造を試みたいという意欲で、間取りを変えたり、壁に絵を描く、金具やノブも取り替えられるという生活空間のカスタマイズへの憧れなのだ。とはいえ、こういう手ずからのリフォームについての記述はほんの少ししか出てこない。また、著者は中古物件の購入とは「空間への思いを受け継ぐこと」と考え、購入した都心のマンションの売主のセンスや暮らしへの思い入れに感嘆する。同時に、母の住まっている千葉のマンションを手放すときは、富士山が見える窓からの風景やトイレの壁に書いた馬の絵への思い入れを分かってくれる家族を買主に選んでいる。
 大半のページは不動産を下見し、何故購入するに至らなかったかの理由に割かれている。そのエピソードを通じて不動産売買についての仕組みがわかってくる。

出典:ALIA NEWS 83号(2004.9)

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密集市街地のまちづくり まちの明日を編集する

著者:黒崎羊二 大熊喜昌 村上浩和 り・らいふ研究会
発行:学芸出版社
定価:2,700円+税

り・らいふ研究会の「 り・らいふ」とは、英語のrelive(リリブ)からとった造語で、まちの再生とそこに住む人々の住宅更新を包括的に表現した言葉であり、り・らいふ研究会は、大学関係者、コンサルタント、公務員、不動産鑑定士、税理士など多様な職種の人が集まっています。
この研究会では、制度さえ整備されたら問題が解決されるという、制度への幻想を捨て、自治体職員やコンサルタントの視点からではなく、もう一歩踏み込んで、そこに住む人々の暮らしから密集市街地のまちづくりを考えてみることにしました。
その結果、まちの明日を編集するという言葉にたどりつき、この本が出版されました。
この本の構成は「第1章 密集市街地のまちづくりと『編集』『編集方針』『相互編集』」「第2章 発想の転換」「第3章 密集市街地整備の新たな視点」「第4章 建物の自律更新方策 コミュニティの内発的動機を活性化する」「第5章 密集市街地の計画と整備 外発的アプローチの新しいあり方」「第6章 まちの明日を編集する」からなっています。
 特に第2章、第3章では、ソフト面について、つまり「まち」の構成要素である「ひと」について具体的に書いています。
 この本を読むと、著者たちの熱い意気込みが伝わってきます。
 中でも「密集市街地の課題解決にためには、それぞれの主体がもっている既成のめメニューを前提として、その枠の中で当面する課題に対応するのではなく、様々な事象の相互関係を見抜き、包括的な対応手法を考える必要がある。 いわば、熱には熱冷ましという西洋医学ではなく、体質と症状を総合的に捉え処方箋を考える漢方的なアプローチをしてみるということに似ているということができる。」という指摘はもう一度かみしめてみる必要があるのではないでしょうか。

出典:市街地再開発 NO.411 (2004.7)

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地震予報に挑む

著者:串田 嘉男
発行:PHP新書
定価:740円+税

 20世紀中に発生した地震で亡くなった人は200万人以上。しかし、その地震の合計時間はわずか1時間足らずである。
 これは著者が講演の際、用いたタイトルの一文である。
 1993.8の北海道奥尻島地震をきっかけに、流星観測中にFM電波流星観測と大地震との関連を直感し、さらに1995年阪神大震災でその相関を確信し、それからの地震予知へのあくなき追求活動。これはその研究経過活動記録である。自然災害でも熱意をもって対応すれば、おのずと道は開けてきそうな予感を持たせた一冊である。
 かつて関東大震災(1923)を発生周期から予測し東京帝国大学地震学科初代教授となったのは今村明恒である。当時は±10〜20年の予測であり、まだまだ予測予知とはいえない実情は現在でも変わっていない。
 地震の専門家は地殻変動の観測により予知研究を進めているのに対し、地震に対しては門外漢の著者はFM電波流星観測で相関を見、実績を積み上げ予知研究を進めている。
 もちろん失敗もあるようであるが、規模(マグニチュード)、日時、場所とも概ね成功しているようだ。物の見方として「多面的に」というのは常々いわれていることであるが、本書でもこのことは実証されているようだ。地震予知に対する権威筋の対応、論評がその例である。
 ともあれ、著者の熱意に感動し、地震予知が早く一般化しこの成果が当たり前になる時代がくるように応援したい。

出典:ALIA NEWS 82号(2004.7)

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二十年後−くらしの未来図

著者:平尾 俊郎
発行:新潮社
定価:680円+税

 本屋さんの陳列棚で「二十年後−くらしの未来図」が目に入り、20年ほど前に、「十年後/これから何が起きるのか」という未来予測本を読んだことを思い出した。今回の「二十年後」は、いわゆる技術屋さんが執筆しているのではなく、ジャーナリストが各業界のオーソリティからの情報を元に書いているので、より身近な内容になっている。私達が関係する住宅設備機器業界に関するものの予測では、生活習慣病予防やがんの早期発見に大きな効果が期待できる健康診断機能を装備した「健康トイレ」、ほとんどの主婦が期待する掃除をしなくてもいつもきれいなお風呂(ただ、日本人がバスタブにつかることから、シャワーだけへの生活習慣に変化するのではとの意見もあるが)に変わっている。50年前に発売された「洗濯機」では、環境悪化につながる洗剤による選択方法から、調質した電解水や超音波によるもの、さらに究極は純水による洗濯機が出現するのでは。住宅では何といってもセキュリティがどうなるかで、現在最も進んでいる指紋による生体識別方法がどこまで進化するか、太陽光発電による「ゼロ・エネルギー住宅」、近年話題になっている二足ロボットは、鉄腕アトムのように感情を持つ「ロボット」になりえるか、などである。読み終わると、な〜んだと感じる人もいると思いますが、2004年の自分が生活する環境が、どこまで快適になって欲しいかを思ってみるのも良いのでは。

出典:ALIA NEWS 82号(2004.7)

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サステナブル建築と政策デザイン

著者:村上 周三
発行:慶應義塾大学出版会
定価:2,200円+税

 サステナブル・ビルディング研究の重要性が増している。地球環境問題が厳しさを増す中で、持続可能社会の構築に向けて様々な取り組みが行われ、住宅建築分野においても例外ではないが、今後の政策デザインについて説明したのが本書である。環境に係る政策デザインでは、生圏との共存を可能とする総合的アプローチの必要性を強調。エネルギー問題と政策デザインでは、多様な手法を活用しつつ省エネルギー、省資源から汚染防止まで総合的な政策課題対処が必要とまとめた。資源利用と政策デザインでは、資源生産から管理まで立脚した目標を置き、市場における推進や整備に至る考え方を述べた。シックハウス問題への取り組み、サステナブル建築施策の国際動向にも詳しく触れる。包括的な努力を必要とするサステナブル建築の普及に向けての考えを整理することに大いに参考となる。

出典:ALIA NEWS 82号(2004.7)

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モノづくりのこころ

著者:常盤 文克
発行:日経BP社
定価:1,400円+税

 日本のモノづくりが危機的になっているといわれる。比較的優位な生産技術にも陰りが見える中で、創造性の高い技術立国を再び目指すことが、国際競争を勝ち抜くために必要である。独自の質を作り市場を創造していくために、機能と美のバランスのとれたモノづくりへの転換が必要で、それには選択と集中、異質人材や情報の受け入れ、ものごとを統体的に把握しイノベーションを創出することなどが重要とする。こうした対応を図るには、MOT(技術経営)に優れた人材の養成をするべきであり、深い専門性と広い見識や知識、職人的なこころ、「黙の知」が備わった組織、組織と個人との調和等へ配慮すべきと説く。
 また、よきモノづくりにおける顧客との関係は、適切な距離があること、一歩でも半歩でも先を行くこと、ニーズを鵜呑みにしないことであると示唆に富む。

出典:ALIA NEWS 82号(2004.7)

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室内空気質を健康影響
解説 シックハウス症候群

編集:室内空気質健康影響研究会
発行:ぎょうせい
定価:3,800円+税

 昨今話題の「シックハウス症候群」、一緒にとりざたされる「化学物質過敏症」。よく耳にする言葉で、おおよその内容として「家にいると体調が悪くなり、建材や接着剤が原因」というようなイメージはできるが、きちんと説明しなければならなくなったとき、はたと困るのではないだろうか。いろいろの(なるべく公的な出所の)資料を探して、説明する言葉を引用するのが実際だろう。この本では、まず、これらの言葉を取り巻く社会的な状況を整理し、「シックビル症候群」といった関連用語の定義を紹介している。その上で、現在の医学的な知見と照らし合わせ、例えばシックハウス症候群に関しては「『居住者の健康を維持するという観点から問題のある住宅において見られる健康障害の総称』を意味する用語であると見ることが妥当」という見解をまとめている。また、厚生労働省室内濃度指針値との関連についても、説明を行い、今後の課題についても言及している。医学的な視点から分かりやすくまとめられたシックハウスの最前線の教科書として、利用価値の高い一冊である。

出典:ALIA NEWS 81号(2004.5)

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建築生産

編著:松村秀一
発行:市ヶ谷出版
定価:3,200円+税

 多くの大学には「建築生産」或いはそれに似た名前の科目がある。本書はその教科書として編集・執筆されたものである。従来「建築生産」と言えば、「建築施工」のことばかりイメージしがちだったが、今日では設計はもちろんのこと、その前段階の事業企画、発注戦略や建設後のファシリティマネジメント、更には解体・資源循環までを視野に入れる必要が一層高まってきている。本書の内容は、そうした時代の要請に応える形で書かれたもので、大学の教科書としてだけではなく、現代建築業界に身を置く者が、現状を幅広く理解し、これからの事業のあり方を考える上でも、大いに役立つ内容になっている、索引も充実しており、漠然としか理解していなかった事柄を正確に理解する上でも有効な書物である。また、最終章では建築生産の将来像にも触れられており、触発されるところも多い。必読の書物である。

出典:ALIA NEWS 81号(2004.5)

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間取り百年 生活の知恵に学ぶ

著者:吉田桂二
発行:彰国社
本体価格:1,800円

 今から100年前、つまり20世紀の始まりから現在までの、明治・大正・昭和・平成という4つの時代は、日本の歴史の中で最も激動した時代といえる。世紀の前半は多くの戦争を繰り返した。第二次大戦終結後は平和が訪れ、後半は急速な経済成長を遂げたが、代償として多くの公害問題が発生した。近年ではさらに加速する技術革新と地球規模での環境保全が叫ばれる中、我々を取り巻く環境も大きな過渡期を迎えている。今から100年前、つまり20世紀の始まりから現在までの、明治・大正・昭和・平成という4つの時代は、日本の歴史の中で最も激動した時代といえる。世紀の前半は多くの戦争を繰り返した。第二次大戦終結後は平和が訪れ、後半は急速な経済成長を遂げたが、代償として多くの公害問題が発生した。近年ではさらに加速する技術革新と地球規模での環境保全が叫ばれる中、我々を取り巻く環境も大きな過渡期を迎えている。
 この本は、100年間の日本人の暮らしの変化に伴い、移り変わってきた住宅の「間取り」に焦点をあてて、スケッチと体験談などをもとに現代住宅の大変貌を解説したものである。間取り図には家具や寝具が丁寧に書き込んであり、当時の生活ぶりを伺うことができる。
 まず、明治中期頃、まだ「建築」という言葉もなかった頃の民家では、どの家も土間と座敷、「〜の間」で構成される。お互いの間と間は襖などで仕切られていて、廊下というものがない。部屋数も多いが、当時は祖父母と夫婦、複数の子供に加えて女中がいた家もあり、決してゆとりはなかったはずである。就寝時も父と息子、母と娘というように性別毎に分かれていた。
 大正、昭和になると、日常的な買物は各家庭の玄関先で取引され、土間は魚を捌いたり野菜の保管場所としての役割を担っていた。また、工業の成長に伴い労働者が都市に集中したことと、土地不足が相まって、1棟2戸の長屋が急増する。
 第二次大戦では空襲により多くの人が家を失った。ここから復興が始まるのだが、住宅においては家電の普及と民主化の波を受けて、水回りを中心に劇的に変化することとなる。土間が板張りになり、台所はダイニングキッチンと変貌し、今までになかったコンロや冷蔵庫などを置く空間となった。各部屋も廊下を基軸として壁で区画され、独立性の高い空間になる。間取りは小割となり、それまでの「六・六・四半・浴付」から「○LDK」という表現になる。また、住宅産業の工業化が進み、割高な注文住宅に変わる勢いでプレハブ住宅が台頭してきたため、家は“建てる”から“選んで買う”時代になってきている。生活や家族に合わせて間取りを考えるのではなく、間取りにあわせて生活することが現代の潮流である。
 しかし、核家族化の進行を始め、独立した空間を与えられた子供と親とのつながりが薄れたり、安くて見た目の良い建材とするための加工や高気密性が原因とされるシックハウスなど、新たな社会問題も引き起こしている。
 生活の原点を見つめ直し、生活や家族を分断する「部屋」から、本来つながり合っていた「間」に回帰すること、また、住宅の性能に頼らず自然条件に身をゆだねた生活をすることが、人間の暮らしを大切にした、豊かな住まいを後世に残すためには必要であることを、この本では提唱している。

出典:市街地再開発 NO.408(2004.4)

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マンション建替えの法律と税務

著者 柳澤 義一・馬塲一徳
発行 税務研究会出版局
定価 4,800円+税

 本書の内容は、「マンションの建替えに関する法律の解説」と「マンションの建替えに関する税務の解説」に大きく分けられます。
 マンションの建替えに関する法律の解説は、「マンションの建替えの円滑化等に関する法律」と「建物の区分所有等に関する法律」について、実務者が活用できるよう政令、省令まで踏みこんだ解説がなされております。
 一方、「マンションの建替えに関する税務」については、マンション建替組合の会計・税務とマンション建替え事業にかかる税務について、それぞれ解説をしており、法人税、所得税、消費税、登録免許税、不動産取得税、固定資産税、事業税、事業所税等にまで及んでおり、実務者の活用に十分耐えるもとなっています。
 付録の参考資料には、関係する税法の他、建物の区分所有等に関する法律、マンションの建替えの円滑化等に関する法律の一部改正(平成15年5月)まで、反映されております。
 また、マンションの建替えの円滑化等に関する法律の各条文には、関連する政令、省令等が附記され、読替え規定のある条文なども読替え後の条文が併記されるなどの工夫がなされています。
 著者は、日本公認会計士会本部理事を務める公認会計士と不動産経験豊かなコンサルタントであり、実務者を意識した気配りが解説の随所になされるなど職場に備えたい1冊である。

出典:市街地再開発 NO.407(2004.3)

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建築士のためのシックハウス対策の手引き

著書:住環境研究会+美和建築研究室
発行:井上書院
価格:2,500円(税別)

 平成15年7月1日施行の改正建築基準法により、シックハウス対策は着実に進展しているものと思われる。
 しかし、シックハウスをめぐるトラブルは今でもマスコミ等で取り上げられることが多い。こういった報道などで社会の関心が高まるにつれ、シックハウスに向けられる目も厳しくなっているはずで、建築士をはじめ、建築生産に携わる方々にとってシックハウス対策は必要不可欠な知識となっている。
 工事が終わったのに、シックハウスで建築物が使用できないような状況に陥るとその損失は莫大なものとなるはずで、法令への対応だけでなく幅広い知識が求められる。
 本書は、建築士を対象としてシックハウス対策をまとめた手引きで、法令の解説だけでなく設計、工事監理、建築主への説明の際のポイントが簡潔にまとめられている。
 工事が終わった後、ビルオーナーからシックハウスに関する説明を求められる機会も増えると思われるので、そのような場面で活用できる一冊である。

出典:BELCA NEWS 89号(2004.3)

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都市のチカラ 超高層化が生活を豊かにする

著者:森ビル都市再生プロジェクトチーム
発行:幻冬舎
定価:1,500円+税

 今日、都市の再生が喫緊の課題となっています。都市の再生を強力に推進し、東京を活力と魅力に満ちた都市としていくための道筋を提案しているのが本書です。東京が世界の人々から愛される真の世界都市となるために、一体何が必要なのか。この問題意識のもと、ニューヨークやロンドンなどと比較し、東京という都市を解剖したうえで、東京の未来像を描いています。
 「第1章 都市を比較する」では、東京の都市構造を世界の大都市と比較し、その特性を探っています。「第2章 都市の魅力を測る」では、国際的な会議やビジネスの場として、観光に訪れる都市として、また人が住む都市として、世界の大都市と比較し、東京の国際競争力を検証しています。「第3章 東京の歴史」では、どんな歴史を経て、東京は現在の姿にいたったのか、東京の都市形成の過程を振り返っています。「第4章 都市のライフスタイル」では、ニューヨーク及び香港の2都市と東京の生活シーンを写真で追っています。「第5章 21世紀のまちづくり」では、新しい時代にふさわしい都市のあり方を提案しています。
 本書は、115頁の多くを写真や図を使って説明しており、まちづくりに関わる人はもちろんのことそれ以外の人にもわかりやすいものとなっています。そして、著者が提案する内容は、決して自らの利益追求からではなく、東京を次世代に引き継ぐ責務から考えられています。今後の東京の再生を考えるうえで、大変有用です。

出典:市街地再開発 NO.405(2004.1)

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「何をめざして生きるんや」〜人が変わればまちが変わる〜

著者:延藤安弘
発行:(株)プレジデント社
定価:1,500円+税

 『まちづくり』ということばは、約40年前に、名古屋市が幹線道路の整備拡幅を行う事業の際に、道路沿いの家が後退するのを機に、住民がまちの景観に合った建物を自らの手でつくろうと発意し、住民主体による地区整備計画をつくるまでに至ったことに端を発しています。ところが、このことばは後に意味合いを変えて使われるようになり、現在では、都市基盤整備の類や都市計画に至るまで幅広く使われており、事業の堅いイメージを平たくし、形式的であれ地権者が事業に参加することの表現として用いられるようになった、と筆者は指摘しています。
 本書は、『まちづくり』がもともと持っていた住民主体の発想をいかに実現していくか、について、豊富な経験をもとに、『まちづくり』への携わり方や心構えのようなものをわかりやすく説いています。
 『まちづくり』といわれる事業で、住民が主体となり住みやすい環境を考え、行政もそうした発意には誠意を持って対応することは、双方にとって手間のかかることです。しかし、こうした対話の形骸化が相互不信につながり、理論と効率性だけを拠り所とした事業の進め方へと繋がり、トラブルの発生とともに事業の停滞、頓挫に至る、という状況は、関係者なら誰しも思い浮かぶところです。
 筆者は、住民がまちに関心を持つことで、まちと一体的に住み心地の良さを考えるようになり、行政もこれに参加する、こうした『まち育て』が活きた事業に結実することを実例を交えて説いています。そして、理論や効率性に偏りがちな発想をより柔軟なものにするための心の持ち方について様々な角度から説明しています。
 本書の特徴は、『まちづくり』に携わる者のこうしたソフトの面について、独特の関西弁の口語体を交えて柔らかく表現していて、「こういう考えもあるよ、もっと(ある意味で)楽に考えてもいいんじゃないの」と語りかけられているようなところです。
 非常に読みやすい本なので、1度読んでみてはいかがでしょうか。

出典:市街地再開発 NO.404(2003.12)

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お江戸の地名の意外な由来

著者:中江克己
発行:PHP出版
本体価格:571円

 市街地再開発事業により、街には都市の中での新たな役割が付与され、また再開発ビルのランドマーク効果等によって、街の新たなアイデンティティが形成されていく。市街地再開発事業により、街には都市の中での新たな役割が付与され、また再開発ビルのランドマーク効果等によって、街の新たなアイデンティティが形成されていく。
 その一方で、街の「名前」はその街が形づくられていった系譜を綴った「履歴書」のようなものであり、街の姿が変貌していく中にあっても変わることなく街のもう一つのアイデンティティを記している。
 本書は、この「地名」にスポットをあて、江戸即ち東京の様々な街を紹介している。単に地名の由来にとどまらず、地名の発生源を大まかに地形、人名、説話、武家、商人と職人、農と漁、動植物、故郷の八つに章立てし、その歴史、逸話、江戸当時の人々の生活の様子を描いているところが興味深い。
 普段何気なく耳にしている霞ヶ関、世田谷、高輪、浅草、井の頭、小金井、道玄坂、阿佐ヶ谷などに加え、淀橋(西新宿)、八代洲河岸(丸の内)、茶屋坂(三田、中目黒)などの現在の住所表記からは姿を消したものも含め、計200以上の街を紹介している。
 本書を片手に気ままな街歩きをして、それぞれの街の「いまむかし」を比べてみるのも面白いと思う。
 その一方で、街の「名前」はその街が形づくられていった系譜を綴った「履歴書」のようなものであり、街の姿が変貌していく中にあっても変わることなく街のもう一つのアイデンティティを記している。
 本書は、この「地名」にスポットをあて、江戸即ち東京の様々な街を紹介している。単に地名の由来にとどまらず、地名の発生源を大まかに地形、人名、説話、武家、商人と職人、農と漁、動植物、故郷の八つに章立てし、その歴史、逸話、江戸当時の人々の生活の様子を描いているところが興味深い。
 普段何気なく耳にしている霞ヶ関、世田谷、高輪、浅草、井の頭、小金井、道玄坂、阿佐ヶ谷などに加え、淀橋(西新宿)、八代洲河岸(丸の内)、茶屋坂(三田、中目黒)などの現在の住所表記からは姿を消したものも含め、計200以上の街を紹介している。
 本書を片手に気ままな街歩きをして、それぞれの街の「いまむかし」を比べてみるのも面白いと思う。

出典:市街地再開発 NO.403(2003.11)

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成熟のための都市再生―――人口減少時代の街づくり

著者:蓑原敬
発行:学芸出版社
本体価格:2,500円

 「企てる意志を持って、二一世紀日本の都市の状況を考えると、停滞や荒廃ではない全く違う過程が目に映ってく る。・・・成長という尺度では図れない価値が成熟の中で産み出され、人間は正にその過程を鑑賞し、賞味する。・・・それが都市の文化そのものだろう。」成 長の時代に我われは誇りうる街並を作ってきたか。成長を謳歌する法制度はつくってきたが、新たな都市の文化を醸成してこなかった。
  蓑原氏は時代の最先端にその身を置いてきた。最近の氏の関心は、日本における街空間の創造であるようだ。氏らがプロデュースしている幕張ベイエリアにおける街区型の中層住宅群は最近都内に林立する超高層建築群に対する強烈なメッセージである。
  本書は、第1部「成熟のための政策転換」、第2部「街づくりの実践」で構成され、第1部では4章、第2部では4章と章立てされている。
  第1章「街づくりが直面する課題とその打開策」で展開されている「成熟時代における都市再生戦略」ではコンパクトシティ論に対する氏の見解が垣間見られ、 新たな土地利用概念として「間戻」(かんれい)を産み出している。第2章「住宅政策から住まい街づくり政策へ」では、「住宅政策よさよなら」から始まり、 住まい街づくり政策のねらいを描いている。第3章「「都市計画」から「暮らし街づくり計画」へ」は、圧巻である。法定都市計画の問題点を抉り出しながら、 新たな方向を示している。第4章「新たな都市開発手法と体制の変革」では、都市再開発制度についても俎上に載せ、「二一世紀日本人の暮らしと住まいをグ レードアップするための都市再生を行うというスタンスが必要だ」とし、新たな制度のあり方についても言及している。
  第2部第6章「都市デザインのゆくえ」は、わが国の都市デザインの草分け的役割を担ってきた氏の面目躍如たる文である。
   この本のどこを読んでも、鋭く現状の問題に切り込み、氏が多角的に考えた結論を示していることに圧倒されるだろう。しばらくこの本を手放せなくなった。

出典:市街地再開発 NO.403(2003.11)

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